先週一週間のこと。

月曜日に高熱が出て、火曜日にインフルエンザと診断された。その日の夜のうちに熱は下がってしまって、それから一週間は、ひたすら家にいた。

なんとなく眠れなくて、午前四時だか五時だかくらいまで起きていて、radikoでラジオを聴いているかYouTubeで動画を観ているかしている間に、いつのまにか眠っている。

昼過ぎに起きて、Uber Eatsでご飯を頼んで、録画したテレビを観ながら食べる。

携帯をいじる。TwitterやらInstagramやらをぼんやり眺める。LINEで「インフルエンザにかかってしまい、」という予定変更のお願いと謝罪をする。「もう症状はだいぶよくなったからご心配なさらず！」とメッセージを添えて。それはそれで余計に申し訳ない気持ちになる。

各局、夕方のニュースが終わって、夜のバラエティ番組が始まったあたりで、またUber Eatsでご飯を頼んで、それを観ながら食べる。週の後半からは、お風呂に入るかシャワーを浴びるかした。銭湯が恋しくなった。

日付が変わる頃になったら、恋人と少し電話をする。切る前には「おやすみ」と言うけれど、結局、なんとなく眠れなくて、午前四時だか五時だかくらいまで起きている。（最初に戻る。）

どれが水曜日の出来事で、どれが金曜日の出来事か、自分だけではよく思い出せない。恋人が、イオンウォーターとルルの内服液とウイダーinゼリーとサラダチキンバーを買って持って来てくれたのが水曜日、「ラフトボール2019」という企画の情報公開のためにHPを整理したり、タイムラインのパトロールをしていたのが金曜日、ということが、LINEのトーク履歴やカメラロールを遡って、やっと思い出せる。

土曜日の夜、恋人への手紙を書いた。日曜日で、交際を始めてから一年になるからだった。

見切り発車で書き始めたら、何が何だか、何が言いたいのか分からない、だらだらとした手紙になってしまった。最後に無理矢理まとめた。

言いたいことは、本当は本当にシンプルなのに、より正確なニュアンスでそれを届けたいがために、いろんなところからいろんな言葉を引っ張ってきて、文字数も枚数もどんどんどんどん膨らんでいって、最終的にはファンレターみたいなボリュームになってしまっていた。

日曜日の夜、無事にその日の公演を終えた恋人と、無事に社会復帰（といってもただの外出）を果たしたわたしとで、ステーキを食べて、銭湯に行って、帰り道に炭酸のジュースを買って飲んだ。

寝る前に手紙を渡した。その場で読まれるのはさすがに恥ずかしかったので、「明日読むね」と言われて救われた。

特に何があったというわけでもないけれど、一週間ひたすらに引きこもっていたこともあって、「いつも通り」がそこにあることがただただ幸せで、泣いた。それもまた「いつも通り」だった。

5月12日は、わたしにとって、もう一つの誕生日のようなものだ。

aikoが「かばん」という曲の中で、

あたしあなたと知り合うまで
何をして生きて来たんだろうか？
思い出せない位

と歌っているけれど、わたしにも、良くも悪くも、そういう感覚がある。

別に、恋人と出会うまでの20年間を、忘れたわけでもないし、思い出せないわけでもない。「前」と「後」をどちらがいいとか悪いとか比較するつもりもないし、ましてや、「前」を否定するつもりもない。

けれど、彼と出会う「前」と「後」では、感じ方や考え方が明らかに変わってきた、とは、思う。

大げさかもしれないけれど、振り返ってみれば、その日にもう一度「生まれ直した」ような心持ちなのだ。

もちろん、これから生きていく中で、人生のターニングポイントと呼ばれるような大きな出来事は、たくさん起こっていくのだろう。わたしは、そのたびに「生まれ直した」「生まれ直した」と軽々しく言ってしまうような、都合のいい性格なので、そのたびに「もう一つの誕生日」は増えていくのだろう。

それでも、その中でも、2018年5月12日は、はじめての「もう一つの誕生日」であり、わたしの人生の中で、最も重要な日として、忘れられない、忘れたくない、忘れない日になるのだろう。と、思う。

それは、たとえ、これから彼とわたしがどうなっていったとしても。

ちなみに、恋人にとっても、そうであってほしい、などとは思わない。わたしが勝手に思っているだけだし、「わたし（によって／のおかげで／のせいで）ここであなたの人生が変わったよね！」なんて、口が裂けても言えないし、言いたくない（笑）

あくまでも、彼には彼の世界の捉え方を、人生の捉え方をしてもらいたいと思う。わたしは、彼にそれをゆるされているから。わたしは、そのことにとても救われているから。

だからこそ、わたしは彼のそれを妨げていないかと、ときどき不安になることもある。寄りかかるまい、寄りかかるまい、として、結局寄りかかってしまうことばかりである。

「もう一つの誕生日」で数えれば、まだわたしは一歳になったばかりだ。

もっといろいろなことを知って、豊かな感じ方、柔軟な考え方でもって、大切なひとのことを守れるような「大人」になりたい。から、まだ、とりあえず、生きていくことにしている。

わたしの場合、一週間も引きこもっていれば「不健康なんてばかばかしい！」と、かえって前向きになれることが分かった。一周回って、というやつだ。

一歳にもなったことだし、そろそろ、自分の足で立って、自分の足で歩いて、いろいろなところに出向いていきたいと思う。

ご心配をおかけしました。

「もう放して許して」闇の静けさに
潰れそうな狭間で優しい両手が見えた

あたしあなたの知り合うまで
何をして生きて来たんだろうか？
忘れてしまいそうな位

大好きな場所も涼しい匂いも揺らめく星屑も
紐解くように少しずつ一緒に知りたい
ひたすらにあなたの方を向いてる
この目は永遠と心の中で想ってる
口に出して言えないけど

2019.05